9-4 資料を作ってみる

    地図を利用した資料を作ります。
   ここで、著者が作成する資料に多く登場する日本分県地図のデータ入手と
加工に

   ついて説明します。第8章と合わせてご覧ください。

 

   データを入手する

     日本にいるのですからデータは簡単に入手できると思われますが、国土地理院

     の行政区や海岸線のデータは詳細過ぎて、かなりデータを軽減させないといけ

     ません。もともと国土地理院のダウンロードサイトには、都道府県界のデータ

     が見あたりませんでした。

     一方、第4章で紹介したGlobal Administrative Areasからも日本の都道

     府県界データがダウンロードできますが、北方四島が省略されておりイマイチ

     です。

     東京大学大学院工学系研究科建築学専攻高田研究室のWEB情報の中に都道府

     県界のデータ利用例がありました。

                GMT_JP_kenkai.dat

                  http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/tkdlab/member/oh/

Research_Activity/Notes/GMT_practice1.htm

       但しこのデータの由来やソース元がわかりませんので精度などについて不明

       です。さらに探して見たところ、国土交通省国土政策局国土情報課国土調査の

       土地分類調査・水質調査のGISデータのダウンロード「土地分類基本調査」

       の中の『その他』が都道府県界のデータです。

                    http://nrb-www.mlit.go.jp/kokjo/inspect/

 landclassification/download/index.html

       このデータ『 pref.shp 』を第8章のやり方で加工して見ました。

 

    pref.shp 』 加工結果を確認する

            (比較投影図はPlate Carree図法です)

 

    ◎海岸線と都道府県界が一体化(元のデータ)

     ・元データ描画点数:102,725shpファイルを変換したのみ)

     ・重複データ削除後描画点数:90,042

 

     ・データまるめ状況(海岸線と都道府県界一体化)を比較する

      ①Round(3)描画点数:88,802

      ②Round(2)描画点数:34,373

     Round(2)でも結構使えますよ。

 

   ◎海岸線と都道府県界を分離(重複データ削除後加工)

    ・データを分離した描画ポイント

      ⇒海 岸 線:77,913

      ⇒都道府県界:12,129

 

     ・データまるめ状況(海岸線と都道府県界分離)を比較する

      ①Round(3)描画点数

          ⇒海 岸 線:76,710

          ⇒都道府県界:12,101

 

      ②Round(2)描画点数

          ⇒海 岸 線:27,183

          ⇒都道府県界: 7,215

 

     これくらいなら Round(2)で充分使えますよ。

      描画ポイントを減らすため、もう一桁まるめて見ます。

 

      ③Round(1)描画点数

          ⇒海 岸 線: 3,641

          ⇒都道府県界:   945

 

     ●描画描画方法 散布図(直線)

      ちょっとギザギザしています。そこで

     ●描画描画方法 散布図(平滑)

       これくらいなら使えるケースもありますよ。

 

  9-4-1 日本の飛行場(正規多円錐図法)   2017年現在

 

     使用したデータは、国土数値情報ダウンロードサービス空港データ

     『 C28-16.xml 』です。但し、空港名は、最新でない空港があります。

ダウンロード
9-4-1_日本の飛行場(正規多円錐図法).pdf
PDFファイル 1.5 MB

 9-4-2 日本のナンバープレート(正規多円錐図法)   2017年現在

   全国のナンバープレートは、日本のナンバープレート一覧(Wikipedia)

    全国ナンバープレート一覧 - クルマ.info 自動車情報ガイド

      http://www.kuruma777.com/n-zenkoku.html

   などを参考にしてください。

ダウンロード
9-4-2_日本のナンバープレート(正規多円錐図法).pdf
PDFファイル 1.5 MB

  9-4-3 タイムゾーン世界地図(ゴール平射図法)

 

        描画用のデータは、 Natural Earth よりダウンロードしてください。

           https://www.naturalearthdata.com/downloads/10m-cultural-vectors/timezones/

       但し、データは、最新ではないようです(201810月現在で入手できるのは 20125月のものが

       ダウンロード可能です)

       世界の国々のタイムゾーンは、結構変化しており、『今年だけは、サマータイム採用』なんて国も

       あるようです。

           Time-j.net 世界時計 - 世界の時間と時差 https://www.time-j.net/ などで

           最新版を確認してみてください。

ダウンロード
9-4-3_タイムゾーン世界地図(ゴール平射図法).pdf
PDFファイル 2.0 MB

 

  9-4-4 投影図に厚みを加え立体的に見せる

     投影図をいろいろと描いていますが、プレゼンテーションなどで利用できる地図を

     描く方法を検討して見ます。

 

  ●厚みを付けた地図を描いてみる

   地図に影のような厚みを付けてみます。複雑な計算などの処理をせず、グラフの

   基本機能だけで表現する方法を2種類考えました。

 

  9-4-4-1 同じ画像を少しズラせて重ねる

   エクセルのグラフは、複数の項目を描画できます。そして、各項目は、レイヤーの

   ように重なって表示されます。表示順は、最初の項目に上書きされる形で表示され

   ます。3Dプリンターで層を積み上げて行くイメージです。

 

  <入力イメージ>

 

<増減値を設定>

記号 セルNo.

記 述 式       

     
x方向 F4   ???   ←  x方向への増減値      
y方向 G4   ???   ←  y方向への増減値      

<重ねるデータを計算する>

区分 記号 セルNo.

記 述 式 

 

一層目

   
 No.  B7   ???  ← 式の複写時、ソートや解析時に役立つので連番号を付与
x  C7   ???   ←  投影式での算出値  (基本となる海岸線)
y  D7   ???   ←  投影式での算出値  (基本となる海岸線)
 二層目  No.  E7   ???  ← 式の複写時、ソートや解析時に役立つので連番号を付与
x  F7  =C7+F$4   ←  増減値を加算する
y  G7  =D7+G$4   ←  増減値を加算する
 三層目  No.  H7   ???  ← 式の複写時、ソートや解析時に役立つので連番号を付与
x  I7  =F7+F$4   ←  増減値を加算する
y  J7  =G7+G$4   ←  増減値を加算する
 : : : :
必要な層の分だけ展開する

   ・散布図を描く。

   ・縦横サイズを調整する。

   ・描画した散布図を複写し、複写した図から第一層以外(補助線や枠なども)を消去し、

    ペイント系ソフトにコピペして色を付ける。色付けした画像を PNGなどの透過タイプ

    の画像として保存 → グラフの最前面に挿入するため

   ・もとのグラフにサイズと位置を調整し色付けし最前面に挿入する。

 

  以下は、作成過程のイメージです。厚みとして利用する層を7層としているので、項目を

  虹の7色にして見ました。

 

 

  [9-4-4-1a]  投影図に厚みを加え立体的に見せる----項目重ね合わせ(虹色)

ダウンロード
立体_重_虹色 .pdf
PDFファイル 1.7 MB

 次に、この図を単色にして見ます。

   [9-4-4-1b]  投影図に厚みを加え立体的に見せる----項目重ね合わせ(単色)

ダウンロード
立体_重_単色.pdf
PDFファイル 1.7 MB

  9-4-4-2 対データまで線を引く

 

   個々のデータからシフトした対のデータをセットし、その点まで線を引き、それを

   厚さに見立てて描画します。

 

   起点:xn------経度投影計算結果

      起点:yn------緯度投影計算結果

    対点:xn <増減値 x方向>

    対点:yn <増減値 y方向>

 

  描画した後、次の起点へ移り同様に描画すると影の

  ような厚みが出てきます。

  但し、起点対点と次の起点対点のデータは連続させ

   ると余計な線が描画してしまうので空データをは

   む必要があります。

 

 

 

  <入力イメージ>

 

<増減値を設定>

記号 セルNo.

記 述 式       

     
x方向 G4   ???   ←  x方向への増減値      
y方向 H4   ???   ←  y方向への増減値      

<対になるデータを計算する>

区分 記号 セルNo.

記 述 式 

 

起点

   
 No.  B7   ???  ← 式の複写時、ソートや解析時に役立つので連番号を付与
x  C7   ???   ←  投影式での算出値  (基本となる海岸線)
y  D7   ???   ←  投影式での算出値  (基本となる海岸線)
 対点  No.  F7  =B7+0.2  ← 起点のNo.に「0.2」を加えた番号を付与
x  G7  =C7+$G$4   ←  増減値を加算する
y  H7  =D7+$H$4   ←  増減値を加算する
すきま  No.  J7  =B7+0.6  ← 起点のNo.に「0.6」を加えた番号を付与

  対点とすきまの『No.』は EXCELの基本

   機能「連続データ」を利用したいところ

   ですが、スタート番号が小数点以下の値

   である場合は、増分値を1にしてもうま

   く付与できませんでしたので式を入力し

   求めています。

 

  番号が式で付与できたら『No.』部分は、

  値複写して、後々、番号でソートしたとき

  エラーにならないようにしておきます。

 

 

  ・対点のデータの終端(最下行)の下に海岸線のNo.xyのデータをコピペする。

   その終端(最下行)の下にすきまのNo.をコピペする。

  ・今出来上がったデータ(No.xy)を、No.をキーでソートする。

  

    下図が、ここまでの手順で出来上がった表です。「No.」に着目してください。

   ・散布図を描く。

   ・縦横サイズを調整する。

      ・描画した散布図を複写し、複写した図から第一層以外(補助線や枠なども)を消去し、

       ペイント系ソフトにコピペして色を付ける。色付けした画像を PNGなどの透過タイプ

       の画像として保存 → グラフの最前面に挿入するため

      ・もとのグラフにサイズと位置を調整し色付けし最前面に挿入する。

[9-4-4-2]  投影図に厚みを加え立体的に見せる----対点までの線を厚みに

ダウンロード
9-4-4-2_立体_線_単色.pdf
PDFファイル 832.1 KB

   この方法は、前述項「9-4-4-1 同じ画像を少しズラせて重ねる」に比べ、データ数が

   少なくて済むのでEXCELへの負担が軽い点が、メリットです。但し、基準データの間

   隔が大きいと壁に見えなくなってしまいます。

       → この描画例ではグリーンランド、南極などです